「バレンタイン・デイの夢」
バレンタイン・デイがやって来た。
街中が騒がしい。浮かれてる。
俺だって、浮かれ、たい、けど…。
俺、努力したもんな。
彼女に恥ずかしくない男になろうって、努力、した、もんな。
だから、きっと…。
きっと、彼女だって…。
「MTUさん。
「やあ、佐倉さん。
「ん?
これってもしかして。
「そう、
もしかしてですっ!
受け取ってください!
「あ……ちょ、
ちょっと待ってよぉ。
(行っちゃったよ……)
走り去っていく彼女の後姿を見ながら、俺は思った。
きっと彼女も同じ気持ちだったんだ。
彼女も自分に自信が持てなくて、駄目だったらどうしようって思って。
でも、勇気を出して!
俺も勇気を出さなくちゃいけない。彼女の為にも。
「佐倉さん」なんて昨日までの呼び方だ。
今日からは「楓子ちゃん」って呼んでみよう。
そして、遅くともホワイト・デイにはお返しをして…。
それから、それから……。
まだまだ俺と楓子ちゃんは始まったばかりだ。
今までがそうだったみたいに、ゆっくりと一歩ずつ歩んで行こう。
まだ俺達は1年生。卒業まではあと2年。
時間は、まだまだ沢山あるさ。
ゆっくりとあせらずに思い出を作って行こう。
Written By MTU
作者の言葉
初めて楓子ちゃんからチョコレートを貰った、あの時の気持ち。
そんな幸せな気分に浸りたい2000年2月14日を回顧して(笑)。
前例に比べて、異様に短い物です。文字通りのShortShortですね。
(とか書いていたら、柊さんが書いておられましたねぇ)
「楓子ちゃんの魅力」とは、ちと遠い世界にあります。
でも、こういう手法で「楓子ちゃんとの物語」を見るのは有りでは?と。
(映画にもなった井上光晴氏(でしたよね?)の「トゥモロウ」ですね)
まあ、この手は1回ぽっきりですけどね。
また機会があれば、その時は野球物でも。
私は自分が主役でしか書けないので…ですが(苦笑)。
MTU