****************************************
<脳みそ溶解メルトダウン記念>
「独白っ! 告白っ! 激白ぅ!!」
語り手:柊雅史
****************************************
余りにも強烈に込み上げてくる、感情。
あるいはドロドロするような、欲望。けれどそこには確かに・・・純粋で、例えようもなく光り輝く何かがあると思う。
純情と、劣情。相対するようでいて、きっと同等の気持ち。
その狭間で揺れ動く。あるいは弄ばれる。
ああ・・・締め付けられるような、切ない気持ち。
抑えようのない、鼓動と脈動。
ともすれば、自分が嫌になってしまいそうなほどに・・・狂おしい、この心の嵐。
楓子ちゃん・・・君は。
君はなんて残酷なんだろう。
そこにいる、ただそれだけで。
君は僕の心を千路に迷わせる。
穏やかだった感情と脈動とを、瞬時に荒々しく掻き回す。
無邪気に笑って、無邪気に飛び跳ねて。
発散される眩しい何か。
それが僕の心を惑わすんだ。
・・・言いたい。この胸に蟠る、この一言を。
けれど、言えない。それは余りにも・・・余りにも、軽々しく口にする言葉ではないから・・・。
言いたいと切望する僕と、言えないと怯える僕がいる。
心の中でせめぎあっている。
なのに、そんな僕の苦悩なんて気付かない素振りで。
君は明るく、無邪気に笑い、動いている。
ああ・・・いっそこの目が盲目ならば。
そうすれば、君に惑わされることもないのに。
こんなにも、苦しい想いをしなくても済んだのに。
そう思うこともある。でも、そうじゃないとも知っている。
もし僕が盲目だったなら。
僕は嘆いただろう。君を見たいと、嘆いただろう。
分かってるんだ、幸せな悩みなんだってことは。
幸せな苦しみなんだってことは。
だから・・・だから。
今日こそは、君に言うよ。
僕の胸に蟠る、この気持ち。
込み上げてくる言葉。
それがどんな結果をもたらすのか、僕にはなんとなく分かるけど。
でも、このまま苦しむよりも、いっそ楽になりたいと。
そう願う、僕がいる。
だから・・・ありったけの勇気をこめて。
僕の気持ちを、君を一目見たあの瞬間から抱き続けて来た言葉を・・・言うよ・・・。
「・・・楓子ちゃん!」
「え、なぁに、柊さん?」
突然真剣な顔で呼びとめた僕に、ぴょこんと首を傾げて楓子ちゃんが振りかえった。
その仕草が、一層僕の心を乱す。
本当に君は・・・罪作り、だよね・・・。
「あ、あのさぁ・・・前から、その・・・言おう言おうって、思ってたことなんだけど・・・」
ごくり。
僕の喉が鳴る。
言おう、言うんだ、言わなくちゃ!
「・・・柊さん?」
「あのさ! 楓子ちゃんの髪って・・・カッパみたいで可愛いよね!」
「・・・カッパ・・・!」
楓子ちゃんがびっくりしたような顔で硬直し・・・そして、うりゅりゅ〜って感じで目を潤ませる。
ああ・・・やっぱり。
あの時から抱き続けて来たこの言葉を・・・吐露すれば、こうなることは分かってたんだ。
だけど・・・だけど、どうしても言いたかったんだ!
「その前髪・・・猫みたいにじゃれても良い?」
「柊さんのバカぁ! 大嫌いっ!!」
パシーン!
素晴らしいスナップの効いた張り手が炸裂して、僕は倒れた。
・・・はは・・・やっぱり怒られちゃったかぁ・・・。
涙する僕の視界に映ったのは、ぱたぱたと走り去る楓子ちゃんの姿。
その動きに合わせて、前髪がぴょこんぴょこんと動いているのが、後ろからでも分かった。
そのぴょこんぴょこんって感じが、なんかもう、どうしようもなく可愛かった。
嗚呼、楓子ちゃん、君はやはり罪作りだよ。
無邪気に笑って、飛び跳ねて・・・その度に、前髪がぴょこんぴょこんって動くから。
その動きが、僕を狂わせるんだ。
言えば怒られるって分かっていても、言いたくさせるんだ。
「じゃれて良い?」って・・・。
だって・・・そんな風に可愛くぴょこんぴょこんって動かれたら。
じゃれたくなるのが人間の性ぢゃないか・・・。
僕は廊下でひくひく痙攣しながら・・・傍らを通りかかった猫ちゃんに尋ねた。
「なぁ・・・君もそう思うだろ?」
「にゃ〜」
猫ちゃんは同情するような、あるいは呆れ返ったような感じで鳴いた。
多分、前者だ。
僕は盟友と勝手に決めた猫ちゃんを抱き、よろよろと立ち上がった。
「・・・一緒に謝りに行ってくれるかい・・・?」
「にゃ〜・・・」
あ、なんか嫌そう。
でも、気にしないことにした・・・・・・。
>独白っ! 告白っ! 激白ぅ!!:おしまい<
楓子ちゃんの髪型って可愛いよね。
楓子ちゃんが動いている姿を想像すると、僕はどうしても前髪が気になって気になって仕方ありません。
とてとて走る楓子ちゃんに合わせて、あの特徴的な前髪がぴょこんぴょこんって動くのです。
なんかもう、言葉に言い表せないような感情が湧いてきます。
誰か、同調してくれる? それとも僕だけ?
楓子ちゃんを見た時から抱き続けて来たそんな思いを、今回は思い切って告白してみました。
ちょっとだけSS風にして。SSぢゃないかもしれんけど。
まぁ発作みたいな物だと、笑って許してくれれば幸いです。
では・・・今度はちゃんとしたSSにて・・・。
作者:柊雅史