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「佐倉さんもうすぐ誕生日だったよね。」
楓子のクラスメイトのしんきろうが話かけてきた。
「うんそうだよ。もしかしてプレゼントくれるの?」
楓子は冗談半分に聞いてみた。
「そのつもりだけど?」
「えっそんななんだか悪いよ」
そんなの口ではそういうが楓子ちゃんはうれしそうだった。
「と言っても『ふぇありーている』全員からのプレゼントだからね」
「なんだそういうことか。しんきろう君、個人からないのかな?」
楓子はイタズラっぽく笑いながら聞いてみた
「まだ死にたくないから、それだけは勘弁して!彼らに知られたらマジやばいから」
しんきろうはおもいっきり焦っていた。
「冗談だよ。しんきろう君、仲がいいもんね、みんなと」
楓子がみんなと呼んだのはこの学校にその名をとどろかす。
泣く子も笑う『楓子ちゃんを守る会』のメンバーの事である。
彼らは日夜、楓子ちゃんのハートを射止めるべく、抜けがけなんぞは朝飯前
もちろん足の引っ張り合いなんぞ日常茶飯事である。
当然部外者であるしんきろうが個人的にプレゼント送ったとわかれば、どんな目にあわされるかわかったものではなかった。
「話を戻すけど何か欲しいものないの?」
「えーそうだなぁ?最近甘い物食べてないからおいしいケーキが食べたいな。
そうだなイチゴのショートケーキもいいし、ミルフィーユもいいな。
ちょっと苦めなガトーモカとか、
そうそうこの季節だったらモンブランは外せないかな?
それからチーズケーキにアップルパイでしょ。
あっもちろん冷たいバニラアイスは欠かせないよね。
アイスクリームといったら・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
この後楓子は五分間自分が好きなデザートの話をしゃべり続けた。
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「なるほどなこれで楓子ちゃんのハートは・・・・・(妄想中)」
一人部屋の片隅で先程からブツブツと一人事をいっているこの男は綾野という守る会の伝説として名を馳ている。
当然会のメンバーからも慕われて・・・いえ少し語弊がありました(^^;
守る会のメンバーには、いいようにオモチャにされています。
まあこれも彼の人望がなせる業だとあきらめていただきましょう。(合掌)
耳にしていたイヤホンを外しこの場をあとにしようとした時
二人の漢が立っていた。
「どうやらタレコミは正しかったみたいだな」
「盗聴までして抜けがけしようなんてさすがだ。また伝説を築いたという所かな。」
「そうそう。ばれて失敗するなんてまさにお約束。」
二人は指をポキポキならしながら綾野に近づいて行く。
辺りに断末魔の叫び声がこだまする。
「まあこれは俺達が無駄にならないように使わせてもらうから」
そういうと綾野が握っていた紙切れを奪い取った。
二人はすぐさまこの場を後にしたが綾野が意識を失う瞬間、笑んでいたのに気づいていなかった。
抜け駆けした綾野に制裁を加え、戦利品を前に川鍋とスカイシューターは困惑していた。
綾野から奪い取ったメモには無数ケーキやアイスクリームの名前の一部が羅列されている。
二人には書かれた単語を理解する事が出来なかった。
「このショートってのは遊撃手のことか?」
「だとしたらこっちのミルって何なんだ?」
結局わからず不本意だが奴に解読をさせることにした。
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「予想通りの展開だね」
「まったく、あの二人の事だから明日にでも柊さんに聞きに行くな。確実に」
「あやのんが書いた暗号を解読出来るのは柊さんくらいだし」
「あとはこちらの予想通り柊さんが動いてくれたら計画は成功する」
二人はがっしりと握手をかわした。
「それじゃあまた明日」
そういって男は去っていった。
去った男を見送りながら残った男はつぶやいた。
「しかし、ドラちゃんはプレゼントどうするんだろう?まあ俺は面白ければそれでいいし・・・・」
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翌日スカイシューターと川鍋は柊を呼びつけ例の暗号文を解読させた。
もちろん二人は柊には綾野が残した楓子ちゃんの希望するプレゼントのヒントが書かれている事は伝えていない。
柊は二人の雰囲気が尋常でない事に気づいていた。
とりあえずメモに目を通してみる。
しばらく考えたすえ意味不可解な単語は洋菓子の名前を示している事に気づいた。
残る言葉は考えなくとも意味がわかった。
あとはこれらをつなげて意味のある言葉にするだけだったが柊はある事に気づいた。
”もしかしたらこいつは誰かが抜け駆けして探った楓子ちゃんが希望するプレゼントなのでは?
この二人がそのメモの解読を俺に頼むんだから恐らく綾野さんだなきっと
だとしたらこの辺はあやのんの妄想だな。"
後半部分を読んで柊はそう思った。
柊はこの二人をはめる為、嘘の解釈を教えた。
「そうだな前半部分はケーキの名前だと考えれば意味が十分通じるんじゃない?後半部分だけど・・・・」
柊は二人に一番ケーキを集めた人が祝福のキスを得られると教えた。
もちろん”祝福のキス”というのは綾野の妄想である。
嘘の情報を流した柊はおいしいケーキを探す為、クラスの女子に情報収集に出かけた。
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物陰に隠れていた漢達がいなくなるのを確認すると話をはじめた。
「予定通りだね。あの三人が動けば他の人も動くだろうからね。」
「しっかしこんな計画に加担して大丈夫?」
YKOはドラサンズに聞いてみた。
「こればっかりはしょうがないよ・・・」
「そうだね・・・」
ドラサンズの意見にYKOはうなずいた。
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二人がケーキを買いあさり柊がケーキの情報を集めている事は守る会内に瞬く間に広がった。
楓子ちゃんの誕生日前日、ひびきの市 さらにはきらめき市からケーキがなくなった。
”ふっふふーんみんなで今日は誕生会を開いてくれるて言ってたから
久しぶりにケーキが食べられるモンね。
プレゼントも用意してくれてるらしいから楽しみだな。”
楓子は、学校に来る途中、その事ばかり考えていた。
「おはよう、白雪さん」
「おはようございます、佐倉さん。何良い事でもあったんですか?」
「うん、今日は私の誕生日なんだ!」
「それでですか。とても幸せそうでしたので、もしよろしければ占って差し上げましょうか?」
「ほんとー白雪さんに占ってもらえるなんてやっぱり今日はついているのかなぁ」
二人は早速教室へ向った。
佐倉は白雪がカードをめくるのを緊張した面持ちで見つめた。
全てのカードがめくられひと呼吸をおいてから白雪は口を開いた。
「占いの結果ですが現在または近い未来、数々の誘惑があなたを襲います
ですが誘惑に打ち勝つ強い意思の暗示が出ています。
そして未来ですが悩みが解消されると出ています。
でも油断しないでくださいね?もし誘惑に負けたら大変なことになるみたいですから」
「うん・・・・」
楓子は白雪の”大変なことになる”という言葉に不安になり表情が曇った。
白雪は、そんな楓子に気づき占いのあといつも言っている言葉を伝えた。
「占いは未来を予知する為のものじゃありませんよ。
あくまで道を示す為の補助的役割でしかありません。
未来は自分で切り開くものですから」
「うん、そうだね。じゃあ教室に戻るね。占い、ありがとう」
そう言って楓子は教室を出て行った。
朝から放課後までなにも起こらず、楓子は少し拍子抜けしていた。
しばらく机に伏せてボーっとしていた所に川鍋と柊が声をかけた。
「佐倉さん迎えに来たよ」
「あっもう準備出来たの?」
「そういう事、みんな待っているから会場まで案内するよ」
「よろしくね、二人とも」
楓子とエスコート役の二人は会場へと向った。
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バーン、バンバーン!
会場に楓子が到着すると無数のクラッカーが歓迎してくれた。
楓子は耳を押さえながらも嬉しそうだった。
「それでは、これより我らが楓子ちゃんのお誕生日会を開催します」
司会の子龍が高らかと宣言した。
「それでは、楓子ちゃんに一言頂きます。」
「えっええ、そんなの聞いてないよ。ん〜んと・・・」
みんな楓子が話をはじめるのを固唾を飲んで見守った。
「えっとぉ、みんな今日は私の為にこんなパーティーを開いてくれてどうもありがとう。
あんまりおしゃべりするの得意じゃないから・・・上手く言えないけど・・・すごくうれしい・・・です。」
最後の方は声がかすれてほとんど聞き取る事が出来なかった。
そんな楓子をみんなが励ましの言葉を与えた。
楓子は少し照れながらはにかんでいた。
パーティーは花束贈呈や祝辞を終えプレゼント贈呈へと移った。
順番に一列に並ぶ守る会の人達をみて楓子はあることに気づいた。
皆が手にしている箱は大きさや形が酷似していた。
最初の一人が楓子の前で箱を開いた。
楓子は中を覗き一抹の不安を覚えた。
「あの、もしかしてみんなの箱の中身はケ、ケーキ?」
楓子が少し脅えながら聞いてみた。
口には出さず皆大きくうなずいて見せた。
「・・・・・・」
楓子は思わず後ずさりしながら、朝の白雪の言葉を思い出していた。
”もし誘惑に負けたら大変なことになるみたいですから”
楓子の額には冷や汗が出ていた。
「あっあの・・・。みんなゴメンね」
そう言うと楓子は一目散に逃げ出した。
楓子が出ていった後、守る会の面々はしばらく呆然としていた。
「いかん、このままでは楓子ちゃんのキスが!」
誰ともなく叫んだ一言がみんなを現実に戻した。
一斉に楓子のあとを追いかけた。
当然のごとく入り口付近はごった返し、転倒するもの続出だった。
バースデープレゼントである箱の中のケーキは無残な姿になっていた。
やがて混雑も収まり守る会の部室の中は、騒ぎを傍観していた数名の会員と戦いに敗れ横たわる数名の会員がいるだけだった。
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「はあ・・・はあ・・・はあ・・・」
楓子は校舎内に身を隠せる所がないか走り回っていた。
守る会の人たちも楓子を見失ったことにより分散し校内のあちこちに散らばり始めていた。
「このままじゃ、見つかっちゃう・・・とりあえず、隠れなきゃ・・・ !!あそこなら・・・」
楓子が向かった先はふぇありーているの部室だった。
コンコン
「どうぞ!」
楓子がドアをノックすると中からふぇありーているの会員が出てきた。
「お願い隠れさせて!」
楓子はそう言うと室内に入った。
ドアを自ら閉めてもたれかかると大きく息を吸い込んだ。
「ふ〜う、ごめんね。突然押しかけちゃて」
「そんなことより今日は守る会主催の誕生会じゃなかったの?」
誰と無く聞いてみた。
「うん、そのことなんだけど、どういうわけだがみんなプレゼントにケーキを選んだらしくって、3,4個なら何とか食べられるけど
20個以上だと食べられないし・・・誰か一人を選んで食べるなんてできないし・・・・」
楓子は少し済まなそうな顔をしながら語った。
「そういう事なら守る会には悪いけど協力しないと・・・・」
「とりあえずはここに居れば大丈夫だと思うけど・・・・」
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その頃、渡り廊下では
”まずいな。一体どこから情報が漏れたんだ?”
”なんにせよ、この人数は多すぎるな”
”不本意だがここらで仕掛けますか?”
”了解!”
スカイシューターと川鍋はアイコンタクトを駆使して他の会員をはめるべく計画を実行した。
川鍋はスピードを落とし一群の最後尾に回った。
一群はスカイシューターのあとを追って左に向かった。
川鍋はそのままついていかずに逆の方に向かった。
スカイシューターと川鍋はそれぞれ逆の方向だが校舎の一番端にある階段を目指した。
先に階段にたどりついたのは、川鍋だった。
川鍋は階下に降りるとスカイシューターたちが降りてくるのを待った。
やがて一群がやってきた。
川鍋はできる限りのでかい声で叫んだ。
「こっちに楓子ちゃんがいるぞ!」
スカイシューターを除く全員が一斉にダッシュを駆けた。
「○○部長キック」
ドカン!
「ユ○○ンキック」
バコン!
教室から奇怪な声が上がったかと思うと、教室から廊下に向かって爆発が起こった。
無残にも突っ込んだ守る会の会員たちは爆発に巻き込まれていた。
川鍋は注意深くスカイシューターのところにいった。
「これであらかた雑魚は片付きましたか。」
「まさか金月さんの漫研情報が役に立つとは・・・しかも時間まで正確だし・・・・」
「そういえば彼は?」
「多分、部室でおとなしく待てるんじゃない?争いごととか嫌いだし」
「そうだな。それじゃあ、楓子ちゃんを探しに行くか」
二人は敗れ去った者たちを残し去っていった。
「何だこりゃ?おい!おまえ等こんなところで寝てんじゃねえよ」
通りかかった生徒会長の赤井が、倒れた者の頭を小突く。
「か、楓子ちゃんの・・・・け、ケーキが・・・」
「ケーキだぁ?」
赤井はそいつが手にしたものを奪い取ると箱を開けてみる。
「おっ、潰れてっけどケーキじゃんか!楓子・・・そっか、確か今日は佐倉の誕生日だったな」
赤井は倒れた奴の襟を強引に掴み問いただした。
「おい、これって佐倉にやるつもりだったんだろ?こんなに潰れちゃ佐倉も受けとんねぇよな?これ全部俺がもらってやっから感謝しろよ」
赤井はそういうと倒れているものからケーキをすべて奪い取った。
「にゃはっはっはっは!大漁、大漁!」
赤井は上機嫌でこの場を後にした。
その場に残ったのは倒れたもののすすり泣く声のみだった。
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「これからどうする?」
金月がドラサンズに聞いてみた。
「とりあえず片付けられるとこだけ片付けてみんなの帰りを待とうと思うけど」
「それが一番いいかもね。とりあえずこいつらの潰れちゃったプレゼントを一まとめにしておきますか」
ドラサンズは潰れたケーキの入った箱を部屋の一角に積み上げていった。
ガチャリ
「ういっす!盛り上がっているか!野郎ど・・も・・・・あれ?」
守る会の部室になだれ込んで来たのは、野球部顧問の加奈先生だった。
「ちょっと、ちょっと楓子の誕生会はどうしたっスか?」
「あっ加奈先生それがですね。いろいろ有りまして詳しい話は・・・」
ドラサンズは加奈先生を部室から出して誰にも聞こえないようにこれまでのいきさつを話した。
「・・・・・というわけなんです。80%は計画通りだったんですがあそこで楓子ちゃんがああいう行動にでるとは
思ってなかったもので、大体先生来るのが遅すぎますよ。」
「しょうがないでしょうが、職員会議が長引いたんだから、でケーキの回収具合は?」
「潰れちゃいましたが30%は回収済みです。残りはみんな点でばらばらになってしまってわかりません」
「潰れたの?まぁしょうがないっスね、で残りの回収はどうするっス?」
「いや、そこまでは・・・・持ち場を離れる訳にもいきませんでしたので・・・・」
ドラサンズはそういうと黙って次の指示を待った。
「君は部室に待機しててあとはあいつにやらせておくから」
加奈先生がそういうとドラサンズは部室へと戻っていった。
携帯を取り出すとおもむろに電話をかけた。
プルルルル
「はい、YKOです。」
「あっ加奈だけど」
「あっ加奈先生なんか大変なことになっちゃいましたね。」
「そうなんスよ。もしかしたらせっかくのケーキが誰かに取られちゃってるかも、ところで君は今何しているっス?」
「えっ、部室でくつろいでますけど・・・・・」
「とっとと回収に行って来いス!」
ツーツーツー
YKOは携帯をしまい出かけることにした。
「俺ちょっと野暮用で出かけてくるから」
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「とは言ったもののどこから探せばいいんだ・・・・あれは」
YKOは、柊を見つけると声をかけた。
「何やってんの?柊さん」
「いや、楓子ちゃんを探してるんだけど見つからなくて・・・」
「一回、部室に戻ってみたら?」
YKOはとりあえず柊をふぇありーの部室から離そうとした。
「そうして・・・・・クンクン、楓子ちゃんの匂いがする!今まで一緒にいただろう」
「なっ何を根拠に・・・」
クンクン
柊は犬のように辺りの匂いを嗅いでいた。
「こっちから来たってことはふぇありーの部室だな」
「ちょ、ちょっと待って柊さん」
YKOは柊を懸命に止めようとしたがまるで歯が立たなかった。
ガチャ
「楓子ちゃん逃げて!」
部室内にいたふぇありーの会員は、柊の姿を見つけると思わず叫んでいた。
安住の地だと思っていて場所も追われてしまった楓子は、このあと下校時刻になるまでひたすら走り回ることになる。
「加奈先生、もって来たよ。ケーキ」
ガチャリと守る会のドアを開けるとそこには、アニー先生やことり先生がいた。
「あれ、なんでことりちゃん達がいるの?それに会長まで・・・」
YKOはドラサンズに聞いてみた。
「結局、一人占めするはずだったけど、食いきれないからって呼んできたっス。」
「おう、おまえも食うか?」
「コラ、ことりちゃんはないでしょ。先生って呼びなさい!」
「早くしないとなくなりマースヨ!」
とりあえず二人は加奈先生の隣に座った。
「あの・・・例の件なんですけど、どうなりました?」
「ん?」
口にケーキを頬張ったまま、加奈先生が振り向いた。
ケーキを飲み込み、ジュースを1口飲み終えてからようやく口をひらいた。
「一応、華澄先生には、話して見たけどやっぱり提出期限過ぎたら駄目だって言ってたっス、まあ当然といえば当然スね
特別に補習を受ければチャラにしてあげるって良かったじゃないっスか二人も!」
「それじゃ話が違うじゃないですか」
「危ない橋をわたってきたのに・・・」
「普通なら夏休みの宿題未提出って事で期末試験から20点減点っていてたのがチャラになるっスよ。」
結局、主賓が居ないまま、宴はケーキが無くなるまで続いた。
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「あ〜」
楓子は○○計の上で感嘆の声を上げた。
「どうしたの?楓子」
声に驚いた楓子の母は、楓子に声をかけた。
「ううん、なっ何でもないよ」
”今日一日走り回ったからかな?みんなに感謝しないとね”
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「おはよう!白雪さん」
「おはようございます、佐倉さんそのご様子だと昨日はなんとか乗り切ったみたいですね」
「白雪さんのおかげでね!」
楓子は足も軽く校舎へ向った。
「お二人とも何をされているんですか?」
白雪は、先ほどから物陰に隠れていたドラサンズとYKOに声をかけた。
「えっ」
「い、いやあ何でもないよ」
「そうですか?早くしないと遅刻しちゃいますよ。では先に行きますね」
白雪は二人を残し校舎へ行ってしまった。
「とりあえず、楓子ちゃんは怒ってないし黙ってれば全部あやのんの勘違いですむよな」
「多分ね。しかし守る会の会員にケーキを楓子ちゃんのプレゼントとして買わせて
食べきれない分をもらうだけの計画がどうしてこうなっちゃったんだろう?」
「ところであのテープは消去した?」
「ああ、しんきろうさんと楓子ちゃんの会話を録音したテープだろ? あやのんにテープの中身を
楓子ちゃん達が会話してると見せかけて盗聴させた日に燃やしといた」
「俺はテープの中身を最後まで聞いてなかったけど楓子ちゃんは誕生日プレゼントに何が欲しかったの?」
「やっぱ知りたい?それは・・・・」
『・・・・とケーキの話はこれくらいにしておいて
誕生日プレゼントに何が欲しいかだったよね?
そうだな、特に欲しいものはないなぁ。
私と守る会のみんなと野球部のみんな
お友達とずーっと楽しく過ごせたらいいな
みんなと楽しく過ごす時間が何よりのプレゼントかな?』
Fin?