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17回目のお誕生日
あタル
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カバンの中からキーケースを取出そうとしているのだが、あせっているせいでなかなか
出てこない。
すでにあたりが暗くなっているので家の玄関灯が点いているけれど、手探りでカバンの中を
かき回しているため、よけいに目的のものが見つからないわけだ。
「もぉう・・・。」
ガチャッ。
「ただいまぁ。」
脱いだ靴もそのままにして、彼女は2階に駆け上がっていった。
「すぐにお夕飯食べちゃいなさいよ!」
「はぁ〜い。」
母親の言葉に生返事で答えて、自分の部屋に入っていく。
「今日は届いてるかなぁ?」
ノートパソコンを開けて、スウィッチを押す。
OSの立上がる時間がもどかしい。
その時間を使って制服を着替える。
「もう!どうしてOSって、新しくなるたんびに遅くなるんだろう?」
着替え終った彼女はパソコンを叩こうと思ったが、本体にあたっても仕方がないのでやめにした。
「やっぱり、ペンギンさんのがよかったかなぁ・・・。」
ようやくパソコンが立上がり、彼女はメールソフトのアイコンをクリックする。
「だめだぁ・・・届いてない。見てくれてないのかなぁ。」
「こらっ!早くご飯食べちゃいなさい!」
「はーい!」
彼女は大門高校の2年生で、名前を佐倉楓子という。
今年の夏休みの終りに、ひびきの高校から転校してきたのだ。
ひびきの高校で野球部のマネージャをしていたので、大門高校でも野球部に入って
マネージャをしている。
転校してから少ししか経っていないが、できれば前の友達に逢いたいと思っている。
というのも、いきなり引越ししてしまったので、みんなにお別れの挨拶をいってなかったからだ。
そして、10月22日にひびきの高校野球部の2年生に文化祭へのお誘いのメールを
打ったのだ。
文化祭は11月3日で、ひびきの高校も同じ日だから来てくれないかもしれない。
でも、もしかしたら逢いに来てくれるかもしれないと思ってメールしたのだ。
今日は30日、もう1週間も過ぎたというのに、まだ誰からも返信がきていない。
「ひびきのにいたころは、あんなに仲良くしてくれてたのに。
やっぱり、距離が遠くなっちゃってなかなか逢えないと、心も遠くなっちゃうのかなぁ。」
そんなことを考えながら、佐倉はパジャマに着替えてベッドに入った。
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10月23日、ひびきの高校野球部2年生は、練習が終ったあとも部室に残っていた。
「昨日、メール来たねぇ?」
リーダ格の柊が廻りの人間に聞く。
「来てたにょ♪嬉しかったにょ♪」
独特の口癖で、エースピッチャーの葛城も相づちを打つ。
「ん?あぁ、楓子ちゃんからか。」
彼女からのメールがごくあたりまえであるかのように、キャッチャーの西山が答える。
「なんだ。みんなにも来てたのか・・・」
補欠の鎌田がいつものようにボケる。
「おまえ、ちゃんと送信先のリスト見ろよ!」
すかさず、西山が突っ込む。
「自分だけがもらえるわけないにょ♪」
葛城がそれに同調する。
「うるせぇ!」
「みんな、返事出してないよね?」
鎌田のボケを無視して、柊が聞く。
「俺は出さないぞ。」
「でも、かわいそうだよねぇ。」
「心が痛むんけどなぁ・・・。」
ほかの部員が口々に言う。
「思わず、プレゼント、楽しみにしててね、なんて書いちゃいそうだし・・・。」
誰かが、口走る。
「おいおい!それだけは、気をつけてくれよなぁ。・・・特に、」
柊のここまでの言葉を受取って、西山と葛城があとを続ける。
「おまえ!」
「鎌田!」
「え?ぼ、ぼく?」
「そう!『ぼくはちょっかいなんか出さない。』って顔していそうだけど、
おまえが一番手を出してるからなぁ。」
「でも、ぼく、相手にされてないじゃん。それに・・・、」
むしろ、西山くんのほうがちょっかいを出してるだろ、と言いたかったのだが、
これ以上何を言われるか解らないので、鎌田は言葉を飲み込んだ。
「あたりまえにょ。鎌田が相手にされる前に、全世界の男が相手にしてもらえるにょ。」
「どういう意味だよ、克ちゃん!」
「とにかく!」
鎌田の言葉をさえぎるように、柊が全員に通達する。
「計画をもらすことは言語道断。実行前のコンタクト、ましてや単独行動なんて、
絶対禁止だ。い・い・な!」
「だから、なんでぼくの方を向いてしゃべってんの?」
最後の、『い・い・な』だけは自分のほうを向かれたので、鎌田は一応抗議してみた。
「じゃ、会議をはじめるぞ。」
あくまでも、柊は鎌田を相手にしていない。
『楓子ちゃんのお誕生日を祝おう』
こう題された会議は、この夏に突然転校してしまった野球部の、いやひびきの高校のアイドル
であった、楓子ちゃんの誕生日に直接プレゼントを渡すための企画会議だ。
野球部の2年生が極秘に進めている計画で、実行班は4人。柊と葛城と西山のレギュラー3人組。
それと永久補欠の鎌田がメンバーに入っている。
誕生日の日に、3人プラスひとりが代表で楓子ちゃんにプレゼントを渡そうというのであるが、
今日は、どんなプレゼントが良いかみんなで話し合おうというのである。
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11月14日。いよいよ実行の当日がやってきた。
朝の天気予報では、1日中晴れ、降水確率ゼロ%。
まったく申し分のない気象条件だ。
実行班の3人−柊、葛城、西山−は、朝からそわそわしていた。
野球部の練習中も、コーチから
「おらぁ、そこの3人!そんなんだったら、レギュラーはずすぞぉ!」
などと、怒鳴られっぱなしだった。
一方、偵察部隊−ようは使いっ走りなんだが−の鎌田は、言われた通りに部活を休んで
大門高校へと向かった。
「楓子ちゃんだって部活があるんだから、こんなに早い時間からここにいなくてもいいと思うけどなぁ。
それに、こんなところでひび高の制服着て立ってちゃ目立つよぉ。」
そんなことを考えながら、校門から少し離れたところある電信柱の影で身を潜めていると、
突然後ろから声を掛けられた。
「あれっ!?もしかして、鎌田くん?」
「えっ?あっ!か・・・佐倉さん!!」
とんでもないことに、彼は見つかってしまった。
まったくドジなやつだ。
鎌田は「柊たちに怒られる。どうしよう」と思ったが、時すでに遅しである。
「どうしたの?こんなところで。」
「えっ?あっ!いやっ、その・・・。」
何か言い訳をしようとしたのだが、すぐに思いつかない。
「久しぶりに逢えたのに、『えっ?あっ!』だけなの?」
「えっ?あっ・・・。」
「ほら、また言ってる。」
そんなこと言われても、彼には心の準備だってできていないし、彼女が目の前にいることで
緊張もしているからすぐには言葉が出てこない。
「こっ、こんにちは。久しぶりだね!元気だった?」
「うん!わたしはいつでも元気だモン!でも、ほんっと、久しぶりだね?
鎌田くんはあんまり元気そうじゃないね?なんかあったの?」
「えっ?そ、そんなことないよ。突然声を掛けられたから、びっくりしちゃって・・・。」
「そう?ならいいけど・・・、あ〜っ!!」
「どっ、どうしたの?」
ここにいる理由を聞かれるのかと思って、鎌田はあせった。
「今日は部活、どうしたの?サボったの?」
「えっ?あっ・・・、その・・・。」
「だめだよ、部活サボっちゃ!うーん・・・でも、今日だけは許してあげるモン!」
「うん。わかった。明日はちゃんと出るよ。」
別にサボっているわけではないのだが、理由は言えないので彼は素直に返事をした。
「ずぅーっと補欠で、大変かもしれないけど、がんばろっ?ねっ?」
「う・・・うん。か・・・佐倉さんこそ、部活どうしたの?」
「わたしは今日はお休み。」
「お休みかぁ〜。」
「そうだ!わたし、パソコンでわからないとこがあるの。教えてくれる?}
{えっ?」
「鎌田くん、パソコン得意でしょ?」
「まぁ・・・、少しは・・・。」
鎌田よりも、柊のほうがよっぽど知ってるのだが、「あとで来るから、聞いてみれば?」とは
口が裂けてもいえない。
「これから、なんか用ある?」
「いやっ、別にないけど・・・。」
「だったら、教えてくれない?」
「いいけど・・・。」
「よかったぁ〜。じゃ、行こっ?」
「えっ?どっ、どこへ?」
「わたしのうち。」
「えっ、ええぇ〜?」
「だめ?」
「いやっ、い、いいけど・・・。」
「よかったぁ〜。嬉しいぃ〜。」
妙な、というか鎌田にとってはものすごく嬉しい展開になってしまった。
それにしても、柊たちにバレたらどうなるのだろう。
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家に着くと玄関を開けて、佐倉が入っていく。
「おかあさぁん。ただいまぁ。」
そう言いながら、居間らしいほうへ行ってしまった。
おそらく母親と話しをしているのだろうが、声がはっきりと聞こえない。
「もう、いつまでそんなとこに立ってるの!さっ、早くあがって。」
戻ってきた佐倉はそういいながら、スリッパを出してくれた。
「おじゃましまーす。」
鎌田は脱いだ靴をそろえて、出してくれたスリッパを履いて、奥にいるらしい母親に
聞こえるように、挨拶をする。
2階に上がって彼女の部屋の前に来ると、鎌田に向かってこう言った。
「ちょっと、待っててくれる?」
{えっ?う、うん・・・。」
「お部屋の中、散らかってるし、それに、着替えたいから・・・。」
「わ、わかった。」
学生カバンを持ったままで突っ立っていると、階段のほうからカチャカチャという音が聞こえてきた。
「こんにちは。いらっしゃい。ええと、鎌田くんね?」
佐倉の母親が紅茶とお菓子を持って上がってきたのだ。
が、その後ろには6つの目があった。
佐倉の弟たちがお客の品定めにやってきたようである。
「こ、こんにちは。ひび高2年で野球部の鎌田和行といいます。はじめまして。」
「向こうにいたころは、あの子が迷惑をかけっぱなしだったでしょう?」
「そ、そんなことないです。ぼくなんか、励まされてばっかりで・・・。」
実際に、佐倉から「めげちゃダメだよ。補欠だって立派な部員だよ。」と言われっぱなしだった。
「ところで、ひびきののみなさんは元気かしら?」
「はい。特に野球部のみんなは、大門高校と練習試合をしたくて、一生懸命頑張っています。」
ほんとうの理由は佐倉に逢いたいためなのだが、そんなことは言えない。
「もう、あの子ったら何をしてるのかしら。ふだん片付けてないから・・・。」
「あのっ、お盆持ちます。」
「ごめんなさい。もう少し待っててやってね。じゃ、ごゆっくりね。」
そう言って1階に戻ろうとした母親が、急に振り返って驚くようなことを言い出した。
「そうそう、今日はお夕飯食べていってちょうだいね。いいでしょう?」
「あっ、で、でも、今日は・・・」
今日は、佐倉の誕生日。家族でパーティーをするはずなのに、そんなところに自分がいては
と鎌田は断ろうとした。
「あら、都合でも悪いの?」
「いえ、そうじゃないですけど・・・。」
「だったら、食べていってね?あの子もそうして欲しいって言ってたわ。それに、せっかくあの子の
ボーイフレンドが来てくれたんですもの。おばさん、腕によりをかけてつくるわね。」
「はぁ・・・。」
さらにとんでもないことになってしまい、鎌田はあせった。
そして、佐倉のお母さんの言った一言が、頭の中でリピートされる。
自分はいつから楓子ちゃんの『ボーイフレンド』になったんだろう?
お母さん、何か勘違いしてるんだよ。
そんなことを思っていると、部屋のドアが開いて佐倉が顔を出した。
「お待たせ。どうしたの?顔、紅いよ。さっ、入って!」
言われるままに中に入って、部屋の中を見回す。
「あ〜っ、もう。なに見てるの?早くお盆おいて、座ったら?」
佐倉の部屋で、私服姿の彼女と向き合っている。
鎌田にとっては、『生きてて良かった』という状況である。
すると、突然目の前に緑色の物体が現れた。
「ねぇ、見て、見て!このトカゲのぬいぐるみ。かわいいでしょ?」
鎌田がびっくりしていると、トカゲのうしろから声が聞こえてきた。
「キーケースはね、カエルさんなの。あっ、このカエルさん、なんか鎌田くんに似てなぁい?」
このあと鎌田はお菓子を食べながら、1時間近くにわたって部屋にある小物の紹介を
受けることになってしまった。
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佐倉の部屋で彼女といっしょにCDを聞きながら宿題をやったりおしゃべりをしたりしていると、
母親が夕飯をもって来てくれた。
「ちょっと寂しいけど、ふたりで食べましょ。」
「えっ・・・。うん。でも、今日は、その、せっかくのお誕生日なのに・・・。
家族でパーティーとかやるんじゃなかったの?」
「あっ、覚えててくれたんだぁ。わたしのお誕生日。嬉しいなぁ。
でもね、今日、お父さん出張だからおとといの日曜日にやっちゃったの。」
「そ、そうだったんだ。よかったぁ・・・。あ、あの、ごめん。」
「え?なにが?」
「あの、ぼく、プレゼント持ってきてないんだ・・・。」
「いいよ。そんなこと。カズくんが来てくれたのが、何よりのプレゼントだよ。
きゃっ、なんか、恥ずかしい・・・。あの、カズくんって呼んでいい?」
「えっ?う、うん。いいけど・・・。」
夢でもみてるのではないかと、鎌田は思った。
そこで、佐倉に解らないように、右手で左手の甲をつねったり、腿をつねってみた。
痛かった。どうやら、夢じゃないようだ。
夕飯を食べ終わって、鎌田が後片付けを手伝おうとすると、佐倉に止められた。
「座ってていいよ。そうだ、コーヒーと紅茶、どっちがいい?」
「紅茶がいいな。」
「うん。紅茶だね。じゃ、待っててね。」
待っている間、鎌田はトカゲのぬいぐるみを両手で持って、何でぼくは楓子ちゃんの部屋に
いるのだろうと考えていた。
パソコンを教えてって言ってたけど、何にも聞かれていない。
おばさんにボーイフレンド扱いされてること、楓子ちゃんは知ってるんだろうか?
夕飯までご馳走になっちゃったしなぁ・・・。
しかも、『カズくん』って呼んでくれたし・・・。
「カズくん。カズくん、開けて!」
突然ドアの外から佐倉の声が聞こえたので、鎌田の思考は中断された。
「は、はい!」
ドアを開けると、お盆を持った佐倉が立っていた。
お盆の上には、紅茶とケーキがのっている。
「お母さんがね、ケーキ買ってきてくれたの。一緒に食べよ!」
「わぁ、モンブランとチーズケーキ!」
「紅茶はね、ゴディヴァのアールグレイだよ。」
「ゴディヴァかぁ。飲んだことないやぁ。」
「ケーキはどっちがい〜い?」
「モンブラン!小さいころから、大好きなんだよね。」
佐倉は、どうぞと言ってティーカップとモンブランののったお皿を鎌田の前に置いた。
そして、紅茶を一口飲んだあとフォークを口にくわえたまま、チーズケーキとモンブランを見比べていた。
「あっ、半分こする?」
佐倉の視線に気がついた鎌田がたずねる。
「うんっ!えへっ、どっちもおいしそうなんだモン!」
ケーキを食べおわり、紅茶を飲み干そうとしたときである。
ピピッ。
鎌田の腕時計が鳴った。
そろそろ柊たちが来るのを知らせる合図だ。
音に反応して、佐倉が時計を見る。
「あっ、もうこんな時間。あんまり遅くなっちゃうと、怒られちゃうね?」
「うん。ごめんね、長いことおじゃましちゃって。」
「そんなことないよ。また来てね。」
鎌田は母親に夕飯のお礼をいい弟たちにさよならをして、バス停まで送ってくれるという
佐倉といっしょに玄関を出た。
近くの路地を見ると、いかにも怪しいですという影が3つ並んでいる。
「やっ、柊!」
「か、鎌田!?」
柊はあまりのできごとにびっくりして、言葉も出てこない。
「何で、おまえが楓子ちゃんの家から出てくるんだ?」
西山は自分よりさきに楓子ちゃんの家にあがったことが許せない様子だ。
「抜け駆けは禁止にょ♪」
葛城はこんなときまで、口癖を忘れていない。
「え?えっ?え〜っ!?」
佐倉はびっくりして、4人の男の顔をかわるがわる見ている。
「驚かそうと思って黙ってたんだ・・・。」
鎌田がたいして理由にもならない言葉をはさむ。
ふたりと3人が向き合う形になった。
「楓子ちゃん。お誕生日、おめでとう。」
3人が口々に言う
そして、代表で柊が持って来たプレゼントを渡す。
「はい、プレゼント!」
「み、みんな・・・。ありがとう。わたし・・・嬉しい。」
「2年の部員でお金を出し合って買ったんだ。」
「気に入ってくれるといいんだけどね。」
「安いかもしれないけど、気持ちはこもってるにょ♪」
めでたく、佐倉にプレゼントを渡せて大喜びの3人だったが、ひとり鎌田だけは
浮かない顔をしていた。
帰りの電車の中で、柊たちにどんな目にあうかと思うと、早くこの場から立ち去りたかった。
「それにしても、どうしておまえが楓子ちゃんの家にいたんだ?」
西山が鎌田を責める。
「明日、部活が終ってからつるし上げにょ♪」
葛城が冗談とも本当ともつかないことを言う。
柊は誰にも聞こえないように、まだ向こう正面だとか言うようなことをつぶやいた。
「みんな、いじめちゃダメだよ。カズくんがかわいそうでしょ?」
佐倉が鎌田をかばう発言をしたが、それが逆効果になってしまった。
火に油を注ぐとは、まさにこのことだ。
「か・・・か、ず、く、ん〜?」
これには柊も飛び上がった。
「どういうことにょ♪」
「おまえっ!ちゃんと説明してもらおうか!」
殺意に似たものを感じた鎌田は、ここから立ち去ろうと決めた。
「じゃ、楓子ちゃん。また遊びに来るね!おやすみ!」
そう佐倉に言うと、駆け出した。
「おやすみ〜。カズく〜ん!また遊びに来てね〜。じゃ、みんなもありがとう。おやすみなさい。」
3人とも最後まで名前も呼んでもらえなかったばかりか、強制退去を言い渡されたような
気がして、すっきりしない。
「おやすみなさい。楓子ちゃん。またね。」
仕方がないが、佐倉にお別れの挨拶をして立ち去ろうとした。
しかし、怒りがおさまらない。
「まだ、遠くには行ってないはずだ。追うぞ!」
あくまでも鎌田に事情聴取したいようだ。
かけて行く3人を見送った佐倉は、玄関に入りながらこうつぶやいた。
「なんか、今年の誕生日、一番楽しかったな。また、来年もこんなだといいな。」
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読了いただきましてありがとうございました。
感想をいただけたら、maple_rainbow@nifty.ne.jp とってもうれしいです。
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書き終えて・・・
まずは、
楓子ちゃん、お誕生日、おめでとう♪
3作目になりました。
鎌田くんは今回も登場しましたね。まぁ、なんといっても準主役(笑)ですからね。
「守る会」の日記を見てくださった方はお解りでしょうが、彼はわたしです。
お誕生日SSだから頑張ったわけではないのですが、今までで一番長くなっちゃいました。
当初考えていたストーリィを後半部分書き直してしまった結果です。
出演を快諾してくださった皆さん、ありがとうございました。
結局、こんな役どころになってしまいましたが、怒らないでくーださい♪
うーん・・・、一番謝らなきゃいけないのは、楓子ちゃんに対してかもしれませんネ。
次回作はどこでお会いできるか解りませんが、お目にとまったら読んでください。