夏を思わせる日差しの中で、部員達は緊張を隠せぬ様子で白球を追っていた。

時折チラチラと、グラウンドの半分を使って練習を続けている、縦縞のユニフォームの軍団を覗き見る。

『TOUHU』と刺繍されたユニフォームに身を包んだ相手が、殊更強そうに見えて、『HIBIKINO』と書かれた仲間達が、どこか頼りなげに見えてしまう。

リトルリーグや中学校時代に、試合経験はあったハズなのだが、やはり新チームの初試合は意味合いが違う。

これから一年、やる気を持って部活に励めるか、諦めを抱いてしまうか。

あるいはシビアにも、それが決する瞬間かもしれない。

そんな堅い部員達の間を、懸命に明るい声を出し、笑いを振り撒いている少女がいる。

「ほら、みんな! なんだか堅いよ? そんなんじゃ、試合中に転んじゃうよ?」

と言いながら、転がっていたボールに足をすくわれ、こてん、と自分が転んでいる。

「きゃ! い、痛ぁ〜い!」

尻餅をついて顔をしかめる少女に、一瞬の間を置いて笑いが起こる。笑われた少女はぷぅと頬を膨らませて、真っ赤な顔で立ち上がった。

「もう、笑うことないじゃない! みんなの意地悪!」

「あはは、だって・・・一番緊張してるのは、マネージャーじゃないか?」

「ぶぅ、そんなことないモン!」

ぷいとそっぽを向く少女に、部員達の緊張は静かに霧散していった。

一瞬で部員達をリラックスさせた少女に、その一部始終を眺めていた少年は「へぇ」と呟く。

「わざとやったのかな? だとしたら、凄いけど・・・」

あいにくそれを本人が聞いたら、顔を赤く染めて首を振っただろう。

ひびきの高校マネージャー、佐倉楓子は緊張の只中にいた。

加えて、彼女は正真正銘の「天然」だったりする。

・・・ともあれ、災い転じて福となすのことわざ通り。

部員達はリラックスした面持ちで、試合に向けての最終調整を始めた。

そんな彼らを見下ろせるバックネット裏に、綾野武人は腰を下ろした。
 
 
 

  ********************************************

                 <勇気の神様A>
       一緒に野球、しませんか?

             書き人:柊雅史

  ********************************************
 
 
 

野球部の練習試合が行われる6月の第3日曜日。

綾野は幼馴染みの陽ノ下光と待ち合わせて、ひびきの高校へやって来た。

「ねぇねぇ、野球部の試合って、午後からでしょ? だったらさぁ、午前中は陸上部を見に来てよぉ!」

小学校時代に遊び回った懐かしい町並みを歩きながら、光が綾野に手を合わせた。

「う〜ん、でも午前中の合同練習って言うの? それも見てみたいんだけどな・・・」

「う〜! だって陸上部だって、今日は交流試合なんだよ? あたしも出るんだよ?」

「へぇ、そうなんだ?」

「あ、ひど〜い! ちゃんと言っておいたじゃない! 忘れてたのぉ?」

「いつだよ、聞いてないぞ?」

「先月、確かに言ったよぉ!」

「先月ぅ? そんなの覚えてないよ・・・。そういうことはなぁ、直前にもう一回言えって。それ知ってたら、応援に行ってやったのに」

「え、ホント!?」

「まぁ、幼馴染みの付き合いって奴? ・・・しょうがないな、午前中だけなら応援してやるよ」

「やったー! えへへ〜、じゃあ絶対絶対、頑張るぞ〜!」

バンザイ、と手を挙げる光に綾野は苦笑する。たかが練習試合・・・陸上部の場合は交流試合と言うらしい・・・だろうに。

小学生時代の光は正直、決して足が速いとか、ジャンプ力に恵まれているとか、持久力に優れているとかいうことはなかったのだが、離れ離れになっていた7年間に、やはり多少は変わったらしい。

午前中、100M走に出場した光は、2位以下に0.5秒程の差をつけていた。午後には200Mに出場するという。

「そっちが終わったら、あたしも野球部見に行っていい?」

という光の申し出を快諾し・・・よくよく考えたら自分にそんな権限はないと思うのだが・・・、綾野は野球部の試合が行われるグラウンドにやって来たというわけだ。

ちょうどこれから試合開始というタイミングらしく、彼を試合に誘った当人は、忙しそうに動き回っている。跳ねた前髪を盛んに揺らしながら、あっちへこっちへと止まることがない。

よく働く栗鼠などの小動物を思い浮かべて、綾野の口元がつい、ほころんだ。

すれ違う部員一人一人に「頑張ってね!」と声をかけて回る楓子は、むしろ彼女にこそ「頑張れ」と言いたくなるくらい、懸命に働いている。

一昨日、野球のことを熱心に語っていた時にも感じたのだが、本当に野球と野球部が好きなんだろう。

午前中にトップでゴールを切った光が、綾野に向けた笑顔に見た輝きが、楓子の周りにも煌いていた。

ふと、光を見ていて抱いた疑念がまた、頭をもたげてくる。

自分もあんな風に、全身全霊をかけて打ち込んで、輝ける「何か」が見付かるのだろうか・・・?

ただなんとなく、体を鍛えておいて、何かを始められるようにと準備だけはしていたけれど・・・。

何か・・・そう、大切な何かが間違っているような、そんな気がしてならない。

光を見ていても、楓子を見ていても、そんな疑念が心の何処かに湧いてくるのだ。

「・・・綾野さーん!」

考え事をしていた綾野は、自分の名を呼ばれて答えを見出せぬまま、思考を中断した。

見れば自分に気付いたらしい楓子が、手を振りながらやって来る。

「こんにちは! 本当に来てくれたんだね!」

金網越しに綾野の前まで来て、楓子は嬉しそうに微笑んだ。

楓子の眩しい笑みに、綾野は「うん」とだけ答えて、準備運動に余念がない部員達に視線を送る。

「もうすぐ試合開始でしょ? 思ったより、人数少ないんだね?」

グラウンドにいる部員の数をざっと見て、綾野が首を捻る。野球部はそれなりに人はいたハズなのだが・・・。

「うん、今日はね、3年生はお休みなの。引退は夏だけど、今日は新チーム同士の練習試合だから。それに、半分は東風高校の方に、行ってるんだよ?」

「へぇ、そうなんだ?」

「うん。2年生と1年生の実力を測るための試合だモン。出来るだけ色々な人を試合に出したいでしょう?」

「ふーん、なるほどぉ・・・」

じゃあこの試合だけで一概に強い、弱いは分からないんだな、と綾野は頷いた。どうも練習を見る限り、相手の方が一枚上手に見えていたのだが、その辺りの事情が絡んでいるのかもしれない。

まぁ、本当にうちが弱いだけ、ってこともあり得るだろうけど・・・と、付け加える。

「もうすぐ試合、始まるから。応援、よろしくね? あ、良かったら、一緒にベンチで応援する?」

「いや・・・ここで良いよ。ここからなら、全体が見えるし」

「そう? でも来たくなったら遠慮しないで来てね? やっぱりベンチからだと、迫力も違うんだから!」

興奮からか、僅かに頬を染めながら楓子は言い、「それじゃ、また後でね!」と言って、練習から引き揚げて来た部員達の方へ駆けて行く。

そんな溌剌とした楓子の背中を見送って、綾野は再度腰を下ろした。

互いのチームがベンチ前で円陣を組み、一声気合いを入れて解散する。

野球部の練習試合が始まった。
 
 
 

ひびきの高校や東風高校が全国的、あるいは県内的にどの程度の実力なのかは知らないが、しばらく試合を眺めていた綾野は早々に飽き始めていた。

1回2回と両校ともに安打は出ず、かと言って投手が凄いのかと言えばそうでもない。毎回一つずつ四球を出していた。

「ふぁ・・・あ・・・」

と、綾野は欠伸をする。現在は3回の裏、ひびきの高校の攻撃。ワンアウトでランナーは一塁。

 コカン。

そんな音がして、ころころとボールが転がった。ショートが拾い、セカンドへ送る。ファーストへの送球が横にそれて、打者はセーフ。

あ〜あ、と綾野は思った。予想外につまらなかった。

「う〜ん、光の応援でもしてた方が良かったかなぁ・・・?」

そんなことを呟いた綾野の耳に、元気な声が聞こえてくる。

「綺月さん、ナイスランだよ! 須貝さん、頑張ってー!」

「・・・ナイスラン・・・?」

疑わしげに聞こえて来た声援を繰り返す綾野。言うまでもなく、声援の主はベンチでスコアブックを抱えている楓子だ。

 カキン!

綾野が呆れた目を楓子に向けていると、須貝某バッターがライト横にヒットを放ったところだった。

・・・というより、あれはファーストのエラーぢゃないのか・・・?

半眼になる綾野とは対照的に、ベンチの中の楓子は「きゃあ!」と声を上げる。

「やったやったぁ! 須貝さん、ナイスバッティングー! 回れ回れ〜!」

ブンブンとスコアブックを振り回し、ハッと気付いて慌てて書き込む。

そうして急いでスコアブックへの記入を終えると、またもや手でメガホンを作って声援を送る。

「先制点のチャンスだよ! 高村さん、頑張ってー!」

その高村さんがセカンドゴロに倒れる。

「惜しい惜しい! でも良い感じだよ、みんな? ちょっとずつ調子も出てきてるし、次もしっかり守っていこう!」

先制点のチャンスを逃した部員達を、明るい声援で送り出し、楓子はまたもや急いでスコアブックに記入する。

そんな感じで応援とスコアブックへの記入を忙しく繰り返す楓子に、綾野はなんとなく笑いを零した。

「う〜ん、そんなに興奮する内容かなぁ・・・」

試合が始まっても、やっぱり栗鼠のようにころころと動き回る楓子。

つまらない内容の試合よりも、なんだかそちらを見ている方が面白かった。

投手が投げる度に「頑張れー!」と声援を送り、なんでもないプレイにも「ナイスプレー!」と手を叩く。

落ち着きなく、応援の合間にスコアブックに記入を行うのだが、あれでマネージャーとしての仕事が出来ているのだろうかと、他人事ながら心配にもなった。

まぁ少なくとも「声援」の分野では、立派にマネージャー業をこなしているようだが・・・。

4回の表が終わり、連打を浴びて3点を先制されたナインを迎えながらも、楓子は一層元気に選手達に声をかける。

「藤田くん、最後のバッターへのボール、良かったよ? 今日はスライダーが絶好調だね!」

「・・・フォーク、だと思うけどね・・・」

苦笑いを浮かべる綾野だが、懸命に雰囲気を盛り立てようとしている楓子に、その笑みは次第に薄れていった。

少しずつ、少しずつ。

斜めに構えていた綾野の気持ちが、真っ直ぐに向けられ始める。

プレイの一つ一つに一喜一憂し、打者の一人一人に元気いっぱいの声援を送り、笑顔で打者を送り出して、笑顔で打者を迎える。

その笑顔に・・・キラキラと輝くような笑顔に、綾野の目は吸い寄せられていた。

楓子が選手に向けて送る声援が、何故だか心にゆっくりと広がっていった。

「頑張れ、頑張れ!」・・・と。

「凄いよ、凄い!」・・・と。

子供のように手を叩く楓子の声援。

そしてそれに応えて、やはり笑顔で頷く部員達。

つまらない内容で、どうでも良いような練習試合で。

決して上手ではないハズなのに。

輝くような何かが、楓子の周囲に漂っていた。

彼らは・・・そして楓子は、綾野が求めている「自分が輝ける何か」をそこに見付けているのかもしれない。

輝ける何か・・・。

自分が一番になれること。

その何かを見付けた時のために、体を鍛え、いつでもその「何か」を始められるように準備をして来た自分。

そしてその「何か」を見付けた楓子達。

僅かフェンス一枚を隔て、20メートルほどの距離でしかないハズなのに、遠く離れているような、別世界のような・・・。

試合よりも楓子の仕草を見詰め、声を聞き、輝きに目を細める度に、羨望に混じった奇妙な感覚が湧き起こってくる。

疑惑と焦燥。

それに似た感じ。

一昨日に楓子と話をした時にも、午前中に光の交流試合を眺めていた時にも感じた、なんとも言えぬ「ズレ」の感覚。

・・・なにか大事なことを間違っているような、不安。

なんなのだろう、この疑惑は。なんなのだろう、この不安は。

楓子の輝きは、自分に何を教えようとしているのだろう・・・?

楓子をじっと見詰めながら、綾野は心の内から湧き上ってくる問い掛けに、耳を澄ませた。
 
 
 
 

気付けば試合は9回の裏を迎えていた。空の色もそろそろ朱が混ざり始めている。

いつしか楓子の仕草と表情と声に、時間と試合のことをすっかり忘れていた綾野だが、楓子を取り囲む部員達の様子が変わっていたことに気付き、試合のことを思い出した。

スコアボードを見れば、いつの間にやら9−4のスコアに変わっている。

9回の裏に入って、5点のビハインド。満塁ホームランが出ても追いつかない。

スコアを見て、綾野はなるほど、と思った。楓子の声援に明るい雰囲気だった部員達が、焦りを覚えたのだろう。それをなんとなく、綾野は感じたのだ。

「・・・そろそろ終わり、か・・・。なんだ、光の奴、間に合わなかったんだな・・・」

光も見学に行くと言っていたのを思い出したが、その光の姿はまだ現れない。陸上部の交流試合が長引いているのだろう。

「ほらほら、みんな! 元気がないよ? 大丈夫、まだまだこれからだよ!」

楓子の必死の声が聞こえてきて、綾野の注意は再びグラウンドの方へ戻った。案の定、楓子が「どうする?」と顔を見合わせていた選手達にハッパをかけていたところだった。

「でもなぁ、この点差はちょっとな・・・」

弱気な発言をする選手に、楓子が「もう!」と頬を膨らませる。

「駄目だよ、そんな気持ちじゃ! やってみなくちゃ分からないでしょう? やる前から駄目って決め付けたら、なんにも出来ないよ? とにかく、今出来ることをするの! ね、みんな?」

ぶんぶんと幼い仕草で拳を振り、力説する楓子に、弱音を吐いた部員がバツの悪そうな顔をする。

「そうだよな・・・。よし、いっちょ頑張ってみるか!」

先頭打者らしきその選手が、バットを竹刀のように持って気合いを入れる。確か「綺月さん」とか呼ばれていた選手だ。

「うんうん、その調子だよ! 綺月さん、まずは塁に出ようよ、ね? 今までやって来たことを、出来ることを、まずはやってみる! それだけだからね!」

やる気を取り戻した綺月の背中に、楓子が必死の声援を送る。

その声援と必死さが染み渡ったか、他の選手達の顔にも次第に覇気が戻って来た。

活気を取り戻したひびきのベンチから、綺月がバッターボックスに向かう間、綾野は聞こえて来た楓子の声援を反芻していた。

「・・・今出来ることをやる、か・・・」

さして珍しいセリフでもない。テレビでもマンガでも、いくらでも耳にし、目にするありふれた励ましの言葉だ。

なのにどうして、そんな普通のセリフが、じわりと心を締め付けるのだろう。

・・・それは多分、自分がその「普通のこと」を、していないからだ・・・。

答えはあっさりと見付かった。

野球部のことを語る楓子を、眩しいと思った。

全力で走り、勝利を手にした光を眩しいと思った。

今出来ること。

試合には出れないけれど、選手のためにユニフォームを綺麗に洗濯してあげる。

自分にはそれしか出来ないから。今の自分にはそれが出来るから、辛くても、大変でも、やる。

大会で優勝するほどの実力はなくても、全力で走ることは出来るから、顔を歪めて走る。

今出来ることを全力でやっている楓子と光。

ただ待っているだけの自分。

その差は余りにも遠い。

普通のことだから、誰もが心のどこかで知っている普通のことだから、心の中で警鐘が鳴っていた。

間違っていたことを知らせようと、警鐘が鳴っていた。

そして楓子が意識することなく、自然と綾野に教えようとしていた「答え」も・・・・・・。

「・・・今出来ること、か・・・」

綾野はもう一度呟いた。

今の自分に何が出来るだろうか?

輝ける「何か」が見付かるのを待つのではなく。

・・・輝ける「何か」を見付けるために、「何か」をする。

それが例え、自分が輝ける「何か」でなくとも。

それを見付けるために・・・・・・。
 
 

今出来ること。

それは輝ける場所に進むこと。

・・・だから綾野は手始めに、自分と楓子達を隔てるフェンスを越えてみた。
 
 
 
 

最終回の攻撃。

5点のビハインドを逆転しようと奮起したひびきのナインだが、あっさりとツーアウトを許してしまう。

「まだまだ、まだまだだよ! 諦めちゃ駄目、だよ!」

緊張の面持ちでバッターボックスに進む高村に声をかけたところで、楓子はひょいとベンチにやって来た人影に気付いた。

「あ、綾野さん!」

パッと輝くような笑顔を向けられ、綾野はきまりわるげに頭を掻く。

「光、どうも来そうにないから・・・。こっちで応援しようと思って」

「ホント!? うんうん、絶対そっちのほうが良いよ!」

楓子が嬉しそうに良い、綾野を手招きする。

他の部員もそちらに気付いたようで、近くにいた綺月が綾野に声をかけた。

「君、入部希望者?」

「あ、いや・・・見学です。佐倉さんに誘われて・・・」

「そっか。入部は大歓迎だよ、まだまだ部員、少ないからね」

 カキーン!

綺月のセリフに重なるように、澄んだ音が響く。慌てて綺月が振り返るが、鋭い打球はファールになった。

「ああん、惜しい! 高村さん、タイミングはあってるよ!」

楓子が悔しげに言うのが聞こえる。

「・・・そうそう、ちなみに俺も1年生だから。敬語じゃなくて良いよ。・・・ってわけで、はい」

と、綺月は丸めたノートを綾野に手渡す。即席のメガホンらしい。

綾野は苦笑してノートを受け取ったが、さすがにいきなり大声を出すのは躊躇われた。

 キーン!

どうしようかと思っていると、再び澄んだ音が聞こえてくる。

「やった!」

楓子が叫んだように、鋭い打球がフェアグラウンドに飛ぶ。三遊間を抜けようとした打球に、東風高校のショートが飛びつき、グラブに収めた。

「・・・高村、急げ!」

綺月が声を張り上げる。反射的に、綾野もぎゅっとノートを握り潰していた。

 ずざざ・・・!

全力で走った高村がヘッドスライディングで一塁に飛び込む。微妙なタイミングだが・・・。

「セーフ!」

審判のコールに「きゃあ!」と楓子が飛び跳ねる。

「やったやった、ナイスラン、高村さん! 望月さん、続け〜!」

ぶんぶんとスコアブックを振り回す楓子だが・・・。

「おい、高村の様子が変だぞ!?」

ベース上に蹲る高村に気付き、綺月が体を乗り出す。

「・・・なんかおかしな恰好で突っ込んでたから・・・」

綾野が応じると、そこで審判がタイムを宣言した。

弾かれたように楓子と選手達がベンチを飛び出した。

「・・・た、高村さ〜ん!」

泣きそうな声で駆け寄る楓子に、綾野は苦笑した。

何故なら・・・彼のすぐ脇には、応急手当用の救護箱がちょこんと忘れ去られていたからだ。

「・・・おいおい、マネージャー・・・」

呆れた様子で救急箱を手に取ると、綾野もそれを届けにグラウンドに上がる。

「高村さん、大丈夫? あ、大変〜! 救急箱忘れたー!」

案の定困ったように声を上げる楓子に、綾野は救急箱を差し出した。

「あ、ありがとう! 高村さん、どこが痛い?」

「つつつ・・・。肩、ぶつけちまった・・・」

顔をしかめる高村に楓子は冷却スプレーを吹き掛ける。

ぷしゅー! と吹き出た冷気に、高村は慌てて体を引いた。冷却スプレーを顔に浴びると、非常に冷たいからだ。

「きゃ! ご、ごめんなさい・・・。もう、なんでこんなに勢いが強いの?」

冷却スプレーの構造に責任転換した楓子に、高村は苦笑いを浮かべて自分の手でスプレーを使う。

どうやらたいしたことはなさそうだが・・・。

「いけるか?」

短く聞いた綺月に、高村は難しい顔をする。

「どうかな・・・。前にも傷めたところだし・・・。治ってるとは思うけど・・・」

「いや、無理はしない方が良いな。夏の大会の予選も近いことだし・・・」

と、相手チームの監督が言う。

「代走を立てた方が良いだろう。ここで無理をして、予選に出れなくなったらもったいないぞ」

相手監督のもっともな意見に、監督不在(監督は遠征組を率いているそうだ)時に全権を任されている綺月が思案顔になる。

「そうですね・・・。でも、誰にする? 高村より足速い奴って、いたっけ?」

振り返る綺月に、ふるふると一同が首を振った。

おいおい、と綾野は内心でツッコミを入れる。

マンガや小説じゃあるまいし・・・んなお約束な展開はないだろう・・・?

だが冷や汗を掻く綾野にはお構いなしに、楓子が「そう言えば!」と声を上げ、綾野を振り返る。

「綾野さん、確か足、速かったよね!」

やっぱり・・・と思わなくもないが、まぁ相手監督が黙っていないだろう。

「まぁ、この際だから誰でも構わないが・・・」

相手監督は実に柔軟な思考回路の持ち主だった。部員達もだ。

「へぇ、そうなのか?」

「うん! 確か、陸上部にも誘われてたよね?」

「じゃあ決まりだな。まぁ俺達を助けると思ってさ」

「見てるだけじゃつまらないだろうしね」

「幸いジャージ着てるしな」

「作者も喜ぶし」

冗談じゃない、とは言えなかった。高村が肩を押さえつつ、無理に笑顔を向けて「よろしく頼むよ!」と、手を握って来たからだ。

それでは・・・と、解散して行く両チームを交互に見詰め、綾野は思い切って一歩を踏み出したことを早くも後悔していた・・・。
 
 
 
 

「・・・はぁ、はぁ、はぁ、はぁ・・・!」

陸上部のユニフォームの上に乱暴にジャージを引っ掛けて、光はグラウンドに続く並木道を走っていた。

夕暮れの風と日の光を楽しむには絶好の場所なのだが、残念なことに今はその余裕がない。

「あ〜、もう! キャプテンの話、長すぎだよぉ! 野球部の試合終わってたら、どうしよう〜!」

陸上部らしい綺麗なフォームで走りながら、光は口を尖らせて文句を言う。

(せっかくせっかく、武人くんと一緒に見れると思ってたのに! そ、そりゃ、野球なんて全然知らないけど・・・)

もうとっくに試合は終わっていて、武人くんを待たせていたらどうしよう・・・?

多分先に帰ったりはしないだろうけど、きっと怒ってるよね・・・。

はぁ、と溜息が漏れる。走りながらでも溜息が出せる辺り、さすがに陸上部だった。

グラウンドがようやく見えてくる。まだ試合途中だったので、今度は安堵の吐息が漏れた。

「・・・ふぅ。え〜と、それで武人くんは・・・?」

グラウンドに続く階段を下りながら、きょろきょろと辺りを見回す。

「え〜と、う〜んと・・・・・・あ、あれぇ?」

バックネット裏までやって来て、光は困ったような顔になった。綾野探しにかけては右に出るものはいないと豪語する(?)光なのに、どうもその姿が見当たらない。

「えーん、なんでぇ? もう帰っちゃったのかな〜?」

見ると約束した試合がまだ途中なのに、光が来ると知っているのに、先に帰ってしまうような綾野ではないのだが・・・?

光が困っていると、グラウンドの方では1塁ベース上に集まっていた両チームが、ベンチの方へ引き揚げていくところだった。

何かあったのかな、と、見るともなしにその様子を眺めていた光の目が、一転丸く見開かれる。

「えーーーーーーー! な、なんでーーーーーー!」

ベース上に一人、困ったような顔で残された綾野を見て、思わず声を上げてしまう。

「う、うそうそうそうそぉ! 武人くん、野球部に入っちゃったの? そんなの、約束が違うよー!」

フェンスにかじりついていやいやと首を振る。

「ああ〜、せっかく武人くんと一緒に、部活頑張れると思ってたのにぃ!」

「・・・・・・光!」

光がガシャガシャとフェンスを揺らしていると、その背中から呆れたような声がかけられた。

振り返ってみると、友人が呆れ返った顔で立っている。

「あ、琴子ぉ! ねぇねぇ、武人くんがなんで試合に出てるの〜!?」

「さぁねぇ・・・。なんかトラブルがあったみたいだけど・・・?」

水無月琴子はひょいと肩を竦めた。

「どうでも良いけど・・・光。あんた、なんでもかんでも口に出して言う癖、なんとかしなさいよ・・・」

「う・・・ご、ごめん・・・」

言われて気付いた。何人か、周りで試合を見ていた人達が、クスクスと笑って光を見ている。

きまりわるげに光はフェンスから離れた。

「・・・全く、あんな冴えない男のどこが良いのかしら・・・?」

「ふ〜んだ、琴子の男を見る目がないだけだよ! ねぇ、それよりトラブルって、どういうこと・・・?」

「選手が怪我したみたいね。それで急遽、彼が出たみたいよ」

「そ、そっか〜。じゃあ、いきなり野球部に入ったわけじゃないんだね?」

「安心した?」

「うん、安心した!」

あっさり頷く親友に、琴子はつまらなそうな顔になった。なんてからかいがいのない友人なんだろう・・・。

「はぁ、でも良かったぁ〜。武人くんが自分から試合を見たいなんて言うから、野球部に取られちゃうんじゃないかって思ってたんだ」

「不純ね・・・」

「それだけじゃないよ。武人くん、ホントに足速いし、陸上部に入れば絶対活躍できるし!」

「はいはい、分かったわよ。それ以上のろけないでくれる?」

「こ、琴子ぉ!」

光が耳を赤くしたところに、「プレイ!」の声がグラウンドから聞こえてくる。

「あ、試合始まるよ。琴子も応援してね!」

光はこれ幸いとグラウンドの方へ向き直った。
 
 
 
 

9回裏2死、ランナー1塁。得点差は5。

考えてみればそれほど重大な場面ってわけではないな、と綾野は思い始めていた。

(そうだよな〜、次のバッターは投手だし、その後も下位打線が続くんだし、今更5点差は引っ繰り返せないよな・・・)

楓子は「まだまだこれからだよ〜!」と、懸命な声援を送っているが、多分綾野の意見の方が、現実的には正しい。

そう考えると、綾野は随分とリラックス出来た。ウォーミングアップもしていない体を、屈伸などして解していく。

「プレイ!」

審判がそう告げる。綾野は軽くリードを取った。

(そうだよな・・・。せっかくだし、今までやって来た「準備」の成果を試すってのも良いかもな・・・)

結果的には回り道をしてしまったのかもしれないが、それが全くの無意味ではないと思いたい。

「輝けるもの」を探すために、役に立つと思いたい。

じりじりと、綾野はリードを広げた。

(急遽決まった代走、中断直後。・・・警戒なんてしてないだろ・・・?)

トクントクンと心臓の鼓動が規則的に早まっていく。

周囲の騒音も遠くなっていく。

「・・・綾野さんも頑張ってー!」

楓子の真っ直ぐな声が心地良く耳に響く。

他の選手達も同じだったのだろうか。

真っ直ぐな声援は、こんなにも心地良く感じるのだろうか。

「・・・OK・・・」

と、綾野は楓子の声援に応えた。

投手が形だけ顔を綾野に向け、足を上げる。瞬間、綾野は地面を蹴っていた。

地面が急速に後方へ流れる。2塁ベースまで続く真っ直ぐな道が描かれ、そこを全力で駆ける。

ほんの数秒、時間の流れが狂ったように遅く感じる。ベースに向かって、ぎこちないながらも滑り込む。

「セーフ!」

球審の声が間近に聞こえる。顔を上げると、捕手はボールを投じることも出来ないでいた。

「・・・な、ナイスラン! 綾野さん、ナイスランだよ!!」

楓子がビックリしたような顔で手を振ってくる。それに片手を上げて応え、綾野は笑みを浮かべた。

ドクンドクン、と心臓が脈打っている。

大丈夫だ・・・、今まで回り道して来た自分も、無意味じゃなかった。

嬉しそうにスコアブックを振り回す楓子と、にわかに活気付くベンチを見て、なぜだか綾野は許されたような気がした。
 
 
 
 

これで2死ランナー2塁。

逆転は難しくとも、1点くらいは返せるかもしれない。そんな雰囲気がひびきのベンチを満たす。

「よーし、望月! 男を見せろー!」

綺月がベンチから乗り出して望月を叱咤した。

「綾野も打ったら走れよ!!」

と、須貝が綾野に向かって叫ぶ。

「うん、うん! いけるよ、みんな! 絶対絶対、大丈夫だよ!」

楓子も興奮した面持ちで拳を握っていた。

「だって、綾野さん、ホントに速いんだモン! ワンヒットで1点、返せるよ!」

楓子はいつになく興奮していた。

突然その場で代走を押し付けられた綾野が、いきなり盗塁を奪ったのには驚いた。

丸っきりの無警戒・・・自分もそうだし、相手の投手もそうだっただろう。

それに、ウォーミングアップもしていないハズの綾野なのに、楓子が目を丸くしたほどに速かった。

陸上部に誘われていることも納得できるくらいに。ううん、それ以上に!!

きっと一生懸命、自分で鍛えていたのだろう。

自分が輝ける場所を見付けた時のために、厳しい練習を自分に課していたんだろう。

そう分かるような、綺麗で、力強いフォームだった。

(凄い、凄いよ! 綾野さん、凄い!!)

楓子はぎゅっと拳を握り、綾野の姿を見詰めた。

真剣な面持ちで・・・ちょうど、楓子が初めて綾野を見た時のような真剣な表情で、綾野は慎重にリードを取る。

今度は投手も綾野の動きに警戒している。

それでもじわじわと綾野はリードを広げて行く。

・・・ねぇ、綾野さん。綾野さんは今、輝いてるよ?

すっごくすっごく、輝いて見えるよ?

もっともっと、輝ける場所があるのかもしれないけど。

でも、ここでも十分、綺麗に、輝いてるよ・・・?

それじゃ、駄目なのかな?

凛々しいほどに真剣な綾野に、楓子は心の中で語り掛けた。
 
 
 
 

セカンドの綾野を気にしていた投手が、バッターに向かってボールを投げた。

甘いコース・・・綾野のことが気になっていたからだろう・・・を、望月のバットが捕える。

キーン、と澄んだ音が響き、打球が1・2塁間を抜けて行く。

「よっしゃ! 走れ、綾野っ!」

綺月が即席メガホンをベンチに叩き付けて叫ぶ。

もちろん、綾野は言われる前に走っていた。3塁コーチが手を回しているのを確認し、3塁ベースを蹴る。

僅かに弧を描き、全速力を保ったまま、可能な限りの最短ルートを駆けていく。

ライトが捕球し、バックホーム。

「突っ込め、綾野!」

須貝の叫び声と。

「綾野さん!」

楓子の声が聞こえる。

視界の隅を白いボールの影が横切る。同時に、綾野は頭から滑り込んでいた。

危険かもしれないが、こっちの方が滑り込みになれてない綾野にはスムーズに動ける。

飛び込みながら手をホームベースに伸ばす。捕手のブロックの隙間を縫うように、その先にあるものを獲得すべく、必死に手を伸ばす。

土煙が舞い上がり・・・。

綾野は弾かれたように顔を上げた。

「・・・アウト!」

審判の手が夕焼けの空に突き上げられる。

ほんの僅かに、綾野の指はベースに届いていなかった。

ほんの少し、数センチの差。

フェンスを隔てた20メートルよりも、遥かに近かったが、それでも確かに届いてはいなかった。

その差を呆然と見詰める綾野の肩に、ぽんと手が置かれる。

見上げると、綺月が笑みを浮かべていた。

「・・・ナイスラン、惜しかったな」

「あ・・・うん・・・」

手を借りて綾野は立ち上がる。ベンチに戻ろうとする綾野を、綺月が手を伸ばして止めた。

「おいおい、まだ礼が終わってないだろ?」

「いや、だって俺は・・・」

「良いから、ほら! とっとと並べ!」

綺月が列を作り始めた選手達に綾野を放り込む。

「だから俺は別に、部員ってわけじゃないって・・・」

ぶつぶつ呟きながら礼をし、今度こそ綾野はベンチに戻った。

ベンチでは楓子が選手達を満面の笑みで迎えている。

「みんな、ナイスゲームだったよ! お疲れ様!」

勝っても負けても良いと、語っていたように、その笑顔は本当に嬉しそうだった。

その笑みに、綾野は良いな、と思う。

本当に野球が好きで、勝敗は二の次で野球が好きで、打ち込んでいる人の真っ直ぐな笑顔だった。

「・・・綾野さん! 綾野さんもお疲れ様でした!」

楓子が綾野に駆け寄ってくる。

「急に代走を頼んじゃって、ゴメンね? 怪我とか、してない?」

「ああ、それは大丈夫・・・」

「そっか、良かった〜! えへへ、綾野さん、ホントに足、速いね! わたし、びっくりしちゃったよ?」

「そ、そうかな・・・?」

「うん! ・・・ねぇ、綾野さん?」

「ん、なに?」

「野球、面白かった?」

ちょっと首を傾げて問う楓子に、綾野は軽くグラウンドを振りかえって。

「・・・ああ、面白かった。興奮した」

「ホントに? 良かったぁ〜!」

パッと楓子が顔を輝かせる。

綾野も楓子に笑顔を返した。

その笑顔は、楓子と同じように真っ直ぐだった。
 
 
 
 
 

最終スコア、9−4。

ひびきの高校新人Bチームの緒戦は、惨敗に終わった。
 
 
 
 

両チームがベンチに引き揚げるのを見詰めていた光の手が、ぎゅっとフェンスを握り締めた。

「・・・琴子、あたし帰るね・・・」

「光?」

親友の背中がどこかいつもと違うような気がして、琴子は訝しげな目を向けた。

「・・・ゴメン、まだ陸上部の用があるから・・・。武人くんが来たら、そう伝えておいて」

光はそう告げると、来た道を駆け足で戻り始めた。

・・・なんでだろう、心臓がドキドキと脈打っている。

痛いくらいに、胸の奥が疼いている。

「・・・知らない・・・」

と、光は言葉を漏らした。

「知らないよ・・・、あたし、知らないよ。武人くんのあんな顔、知らないよぉ・・・」

駆け寄った野球部のマネージャー・・・確か、佐倉楓子という名前の・・・に向けた、真っ直ぐな笑顔。

子供の頃になら、あんな風な笑顔を見たこともある。

けれど大人になって、再会してからは、一度も見たことがない。

笑顔は見たことがある。元々、綾野は誰にでも屈託なく笑いかけ、話しかける性格だ。

けれど、とびきりに真っ直ぐで、素直で、綺麗な笑顔は、まだ見せていない。

子供のように無邪気で、心を許しきった笑顔。

まだ、光にさえ見せてくれていない。

それは7年間も離れていたのだし、仕方がないことだと思っていた。

高校生になって、前みたいに無邪気に笑えなくなっていることも知っていた。

自分だってそうだから。少しずつ、素直になれなくなる自分に、気付いていたから。

あの頃は屈託なく「大好き!」と言えた自分が、今はもう言えない。

それと同じだと思っていたのに。

いつかきっと、あの笑顔を自分に向けてくれると、そうして自分も、素直になれると思っていたのに。

・・・あの子には、見せられるの?

あたしじゃなくて、楓子ちゃんになら、見せられるの?

そんなに・・・そんなに、特別なの?

自分は特別じゃないの?

「バカ・・・、武人くんの、バカ・・・」

光は心地良いはずの並木道を、重い足取りで歩いて行った。
 
 
 
 

夏の足音が聞こえてくる。

暑い、暑い夏。

光が大好きな、夏。

けれど、その前に・・・。

「・・・いやね、風が強くなりそう・・・」

琴子は乱れそうになる髪を押さえつつ、夏らしい形になり始めた雲を見上げる。

暑い夏がやってくる。

光が大好きな、夏。

けれど、その前に・・・。
 
 
 

夏はまた、嵐の季節でもある。
 
 
 
 
 

 >つづく<
 
 


*次回予告*

野球部に入部した綾野に喜ぶ楓子。
季節は夏本番を迎え、夏合宿の時期がやって来た。

「向こうで会えると良いね!」
同じ合宿所に行くことになった光が、嬉しそうに言う。

そして合宿の夜。
楓子の震える手が、ぎゅっと綾野のシャツを握る。
「あ、綾野さん・・・」
震える吐息が、甘く綾野を包み込む・・・。

-次回、勇気の神様第3話-
『熱中するもの、見付かりましたか?』

期待せずに待て(笑)!!

(都合により一部内容が変更することもあります)


 
 


*あとがきのようなもの*

お待たせしました(待ってない?)、勇気の神様Aです。う〜ん、先週出したかったのだけど、見事に落ちましたね〜。
見ての通り、長くなったのも原因です。それにゲームの描写もねぇ、難しいし・・・。
なんか今回、主人公は綾野さんと光になってますね。楓子ちゃんの影が薄い・・・。
まぁ次回からは、綾野さんも野球部に入ったし、話の主人公を楓子ちゃん&綾野さんのラブストーリー(笑)に戻したいと思います。
自分でも忘れないように言っておきますが、勇気の神様は「感動巨編」ではなく、「ラブコメ」です。きっと。

ちなみに前回の「勇気の神様(旧版)」はこの辺りまでのお話でした。光との関係やら、話の展開も楓子ちゃんベースでちょっと違いますが、概ね同じような内容です。まぁどうでも良いことですね、これは。

前回@で気になったこと。綾野さんは「野球のこと分からない」と言いつつ、「子供の頃にやっていた」と言う矛盾点。
一応これは「野球の何が楽しいのか分からない」という意味です。指摘はなかったのですけど、あれって思った人もいるかもしれないので。
変だな、と思ったところがあったら指摘して下さいね。余りにも変だったら、ちゃんと修正して出し直しますので。
基本的に細かな設定は作らない柊ですから、自分でも心配なのです。

んでは、次回「熱中するもの、見付かりましたか?」にて。

作者:柊雅史


ときめきメモリアル2はコナミ・KCETの作品です。
感想・文句・指摘等はmasashix@d1.dion.ne.jpまで。


日記indexに戻る。