時々、自分が嫌になる
 
 

呆れるくらいに、我が侭で・・・・・・
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

A・I・TA・KU・TE

-Masashi Hiiragi-
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

最初は、ただあの人の声を聞けることが嬉しくて・・・・・・。







「あのね、それでね! わたしったらまたドジしちゃって、せっかく拾ったボールをドッカーン! ってばら撒いちゃったの〜」

『あはは、なんかそれ、佐倉さんらしいね!』

「あ、ヒドイ〜! わたし、確かにドジだけど、そんなにしょっちゅう転んだりしてないモン!」

『そうだけど・・・あはは、だってさ! ひびきのにいた頃も同じようなことしてたじゃない?』

「そ、そんなことないモン!」

『いやホラ、1年の時の夏合宿で・・・』

「覚えてませーん、だ!」

『あ、やっぱり覚えてたんだ?』

「覚えてないモン! 知らないモン! 日下部さんの意地悪〜〜〜!」

『あはは・・・あの時は大変だったよね。みんなでまたボール拾い・・・・・・』

「・・・・・・」

『あはは・・・は、は・・・。』

「・・・・・・」

『え、と・・・・・・佐倉さん?』

「・・・・・・」

『う・・・・・・お、怒っ、た・・・・・・?』

「・・・・・・」

『え、えと、その・・・あ、いや、なんと言うか・・・』

「・・・・・・くす」

『・・・・・・え?』

「あはは! 冗談だよ?」

『あ、ヒドイよ、佐倉さん! 俺、一瞬本気でヤバッて思ったのに!』

「へへ〜んだ、お返しだモン!」

『ぐ・・・・・・た、確かに・・・・・・』

「クスクス・・・・・日下部さんの焦った声、面白かったぁ〜!」

『・・・・・・ヒドイや、佐倉さん・・・・・・』
 
 

「・・・・・・あ、いっけなーい! もうこんな時間!」

『え・・・あ、ホントだ! 明日も朝練なのに!』

「わたしもだよ〜」

『じゃあ今日はこの辺で。また電話するよ』

「ウン! 約束だよ?」

『うん、分かってるよ。じゃあおやすみ!』

「ウン、おやすみなさい」
 
 

Pi......
 
 

「おやすみなさい、日下部さん・・・・・・」
 
 









最初は、ただあの人の声を聞けることが嬉しくて・・・・・・。









「・・・・・・ハイ、佐倉ですけど」

『あ、佐倉さん? 俺、日下部』

「ウン! こんばんは、日下部さん」

『こんばんは。今時間、大丈夫かな? あ、特に用とかがあるわけじゃないんだけど・・・・・・その、少し話したいな・・・って』

「ウン、大丈夫だよ。そろそろ日下部さんが電話くれる頃かな、って思ってたんだ!」

『そうなんだ?』

「ウン! えへへ・・・なんか心が通じ合ってるみたいだね?

『え、なに?』

「な、なんでもないよ! あ、それより聞いて聞いて! あのね、日下部さんは飯塚くん、って分かるかな?」

『飯塚・・・? ああ、あの気障なやつ?』

「えぇ? 飯塚くん、別にそんな感じじゃないよ? 凄く優しい人だモン。そんな風に言っちゃ駄目だよ〜」

『そ、そう・・・・・・。あ、それで、その飯塚がどうかしたの?』

「ウン! あのね、その飯塚くんがね! えへへ・・・どうしたと思う?」

『どうしたって・・・分からないよ』

「う〜ん、当ててみて?」

『・・・・・・ゴメン、やっぱわかんないや』

「そ〜お? あのね、今日ね、飯塚くんのところにスカウトの人が来たんだよ?」

『スカウト?』

「ウン! プロ野球の阪神タイガースから!」

『へぇ・・・・・・凄いな、それって』

「でしょでしょ? わたしもビックリしちゃって〜。今日はなんだか少し話しただけだったみたいだけど、飯塚くんも凄く緊張したみたいなの」

『だろうな〜・・・・・・光の奴も珍しく緊張してたもんな〜』

「え・・・・・・陽ノ下さんがどうかしたの?」

『ああ、光の奴、ああ見えて結構短距離では有名な選手なんだけど』

「ウン、1年生の頃から凄く有名だったよね! ああ見えて、なんて失礼だよ」

『ああ、いや、そうなんだけどさ・・・・・・どーにも光って言うとドン臭いイメージが・・・・・・』

「・・・・・・・・・あ、そうだよね。幼馴染だモンね・・・・・・」

『うん。それでさ、この間、日体大からスカウトみたいなのが来てさ』

「え、それって凄く有名な大学だよね?」

『そうらしいね、俺も良くわかんないけど。それでさ、光の奴凄く緊張してさ、”高志くん、一緒に来てよ〜〜〜”とか泣きそうな顔で言ってきたんだよ』

「・・・・・・・・・ふーん・・・・・・」

『まぁ結局、一人で会ったわけだけどさ、あの時の光の情けない顔ったら! 水無月さんにまで”まるで親離れできない子供ね”とか呆れられててさ』

「・・・・・・なんとなく、分かるなぁ〜」

『え?』

「そんな陽ノ下さんの様子。瞼に浮かぶみたい」

『あはは・・・・・・きっとそれを二割増に情けなくしたカンジだよ』

「それは言い過ぎだよ〜」

『いやいや、普段の光からはかけ離れてたからなぁ・・・・・・』

「そうなんだ・・・・・・」

『うん。・・・・・・っと、もうこんな時間だね』

「あ、ウン・・・早いね、時間が経つの」

『そうだね。じゃあまた、電話するよ』

「ウン・・・わたしからもかけて良いかな?」

『もちろんだよ! じゃあ、おやすみ!』

「ウン、おやすみなさい・・・・・・」
 
 
 

Pi......
 
 
 

「陽ノ下さんは、光、なんだね・・・・・・高志さん・・・・・・」
 
 






最初は、ただあの人の声を聞けることが嬉しかったのに・・・・・・。



 
 
 
 
 
 
 
 
 

『・・・・・・それでさ、その後純のやつがさぁ、匠にからかわれて・・・・・・』

『・・・・・・・・・伊集院さんって覚えてるよね? 今日の放課後なんだけど・・・・・・』

『・・・・・・・・・・・・そしたら寿さんに向かってダンプカーが・・・・・・』
 
 
 
 
 
 
 
 
 

最初は、ただあの人の声を聞けることが嬉しかったのに・・・・・・。



 
 
 
 
 

『・・・・・・一文字さんがさ、偶然そこのお店で働いててさ・・・・・・』

『・・・・・・・・・いやもう、会長のいいかげんなコト、副会長のみんななんてその煽りをモロに受けちゃってさぁ・・・・・・』

『・・・・・・・・・・・・なんかね、そのサーカス、今年でもう廃業らしくて・・・・・・』
 
 
 
 
 
 
 
 

他の子の話なんて聞きたくないよ・・・・・・。



 
 
 
 
 
 
 

『・・・・・・白雪さんの占いがさぁ、困ったことに大当たりしちゃってさぁ・・・・・・』

『・・・・・・・・・華澄先生って、実は昔近所に住んでいた人なんだけど・・・・・・』

『・・・・・・・・・・・・それからまた水無月さんが来てね・・・・・・』



 
 
 
 
 
 

ねぇ、わたしのことだけ、考えてよ・・・・・・。



 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

最初は、ただあの人の声を聞けることが嬉しかったのに・・・・・・。



 
 
 
 
 
 
 
 

『・・・・・・それでさ、光の奴、昔と全然変わんないんだよ。一々言うことがさぁ。この間だって・・・・・・』



 
 
 
 
 
 
 
 
 

陽ノ下さんを「光」って呼ばないで・・・・・・。



 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

最初は、ただあの人の声を聞けることが嬉しかったのに・・・・・・。
 
 

時々、自分が嫌になる
 
 

呆れるくらいに、我が侭で・・・・・・
 
 

こうして声を聞いてるだけじゃ、切なくて
 
 

哀しくて
 
 

我慢できないくらいに
 
 

苦しくて
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

「ねぇ、日下部さん・・・・・・会いたいネ・・・・・・」



 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

一緒にいれば、わたしだけを見てくれる・・・・・・?



 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

>続くかもしれない?<











*コメント*

サブスト3発売記念〜〜〜と言うか、こーゆうの期待してた的読みきりSSです〜〜〜〜。
んが!!
書いてみて消化不良!! うぐぅ!!
どーしても我慢できなければ続き書きます。確率3割くらいで(^^)
このままじゃ消化不良でカミソリ買いに行きますって意見が出たら5割くらいの方向で(^^)

サブストでは距離の不安、そして幼馴染のひかりんへの意識を描いて欲しかったです。
・・・・・・あ、まだあんまりプレイしてないんで、本当はあるのかもしれないけど。今のところ見えて来ないんだモン、ひかりんとの絡み・・・・・・。
見たいですね。見たくありませんか??

柊雅史(初出:2001/08/31)